建物を改修して使うこと。
先日、海南市黒江にある旧田島うるし工場へ。
古くはうるし工場として使われた、一部レンガ造の歴史ある建物。
現在は4人のアーティストがアトリエとして使い、
6月10日までは作品展が開催、建物が一般開放されています。
丁度私たちが訪れたタイミングで
今後の建物の使い方について意見交換するような座談会が始まったので参加。
老朽化が進む建物であること、また元々の構造上不安定な部分があるなか、
4人がなんとかしてここを維持していこうと
もがいている様が伝わってきました。
古い建物を改修して使う意味とはなにか。
仕事柄、いつも考えていることのひとつです。
歴史的、文化的価値のあるものは残していく必要があるし、
そうでないものも、風合いを活かした空間づくりができたり
工夫することでコストをおさえることができるというメリットがあります。
さらに、リノベーション、空家活用と
これだけ声高に叫ばれているということは
古い建物を使うことに対して、
社会的意義が付加されているように感じます。
でもそれは口で言う程簡単なことではなく、
構造、温熱環境、設備、法規など
超えないといけないハードルがたくさんあって
新築を計画するよりもずっと大変だなぁと頭を悩ますことも。
先日、尊敬している構造に詳しい建築家の方に、
現在設計中の改修物件の耐震調査に来ていただきました。
構造上、色々と補強しないといけない部分はあるけれど、
最後にぽつりと「改修して住んでくれたら、この建物もうれしいわな」と。
高らかに改修することの意義を語る言葉ではなく、
素直に、ふっと出た言葉だったように感じました。
明日はまた別の改修案件のプレゼンの日。
なぜ改修なのか、施主さんと一緒にその意味を共有できるよう、
しっくりくる言葉を探してここのところずっと悩んでいます。