2018-08-09

土地を受け継ぐ中で感じていること

トーカンハットから見た風景

細い通りを入って、突き当たりの畑。
敷地には小さな農機具小屋とみかんの木が数本。
北側には田んぼが広がり、さらにその先には山並みが広がって、
静かで、子ども心に「なんか好きだな」と感じていた土地でした。

祖父が高齢になり畑をするのが難しくなった頃から年に数回、
伸び放題の雑草の世話をするようになりました。
そして自然な流れの中でこの土地を受け継ぐことに決めました。

土地との関係性が広がっていく

いつも気にかけて、野菜のことを色々教えてくれる近所のおっちゃん。
「手で井戸掘るの諦めたら業者紹介してあげるよー」と言ってくれる田んぼのおっちゃん。
すいかのためのワラをくれたり、
「今度はいちごの苗をあげる!」と言ってくれる向かいの畑のおかあさん。
「熱中症には気をつけてね」と声をかけてくれるお隣さん。

年に数回除草剤をまきに来るだけでは生まれなかった関係性。
土を耕すことで私たちにも根っこが生えて、土地とちゃんと繋がってきた。
そして土を耕すことが共通点になって、周りの環境とも繋がり始めている気がします。

祖父が使っていた道具たち

祖父が使っていた道具たち

写真のスコップも元から小屋にあったものですが、例えばこの長い柄杓。
これは井戸を掘る際、深くなった穴の底から土を掻き出すのに使いました。

柄杓を使ったのはかなり効率的だったと思ってるのですが、
これはこいつが小屋にあったからこそ思いついたアイディア。

でも祖父はどうしてこんな長い柄杓を持ってたんだろう、と不思議でした。

「あ、そうか」と思ったのは先日の暑い日のこと。

初夏になると用水路に水が流れる

普段は水をやらずに畑の野菜たちを育てているのですが、
さすがに雨が降らなさすぎて、水をやろうとなりました。
でも畑には水道がない。井戸もまだできてない。
そうだ、用水路の水をやろうかな、と思ったときでした。

深さがあるから普通の柄杓だと届かない。
だからこんなに長い柄杓があったんだなー。

この土地だからこんな道具が、工夫がいる。
そんな気づきを共有した気分。

他にも小屋の中を片付けていると木箱が出てきて、
ご近所のおっちゃんが「それは西洋ミツバチの巣箱やなー」と教えてくれました。
養蜂は私達も興味があったことのひとつ。
妹は祖父が蜂に刺されて怒っていたことを覚えていて、
結局はちみつは収穫できなかったとのこと。

土地を受け継ぐ中で感じていること

畑の雑草は放っておくとすぐに人の背丈ほどに成長します。
雑草の世話だけをしていた頃、
ご近所に迷惑をかけないように汗びっしょりになって草枯らしをしても
翌週には青々と雑草が茂っていてがっかりすることも。
こんな小さな土地でも受け継ぐことには責任を伴うんだなと実感しました。

それでも家族の些細な営みが蓄積されてきたこの土地には
記憶の痕跡のようなものが散りばめられていて、
土地と向き合うことで受け継ぐということのおもしろさを感じています。

祖父がいつも上手く作れなかったすいか。
それがおいしく作れたことだけでなんだか特別な出来事。

最近は4歳の姪がよく畑に遊びに来てくれて、
私の顔を見ると「畑に行きたい!」と駄々をこねていてちょっとうれしくなります。
なぜか小屋を見て「このお家作ってくれてありがとう!」と言ったり、
お隣の田んぼの稲が育つのを楽しみにしていたり。

じっくり手をかけ土地を育てる姿を見て、
彼女にとってもこの土地が「なんだか好きな場所」になってくれると嬉しいなと思っています。

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