2019-08-18

不動産プランナー流建築リノベーション

友人である岸本千佳さんによる2冊目の書籍が発売されました。

〈不動産プランナー流建築リノベーション〉という、
不動産の調査、企画から設計、さらに運営までひとりでこなす彼女の仕事を記した一冊。
すんなり馴染むようで実は造語の〈不動産プランナー〉という言葉は彼女によるものです。(語彙力がさすが)

ちょうど執筆中に仕事でお世話になっていたので、
「ほー、そんな流れで本って作られるのかー」と未知の世界の話を聞きながら発売を心待ちにしていました。

彼女が京都・和歌山で実際に手掛けたプロジェクトを章ごとに紹介していて、
出会った街や、物件や、人物がそのままの姿で描かれています。
不動産という旧体制が力をもつ社会のなかで、
自分の頭で考え、オリジナルな仕事の作り方を模索している姿がとてもリアル。

そう、不動産業といってもいわゆる仲介業者ではなく、彼女の肩書きは〈不動産プランナー〉。
物件に客付けし、管理するという単純な流れではないのです。
空き物件に積極的に用途を付加し、それを実現するためにチームをつくり、
人や街を巻き込んだ大きなうねりを作ろうというもの。

これをプロジェクトごとに1から組み立てているのですごく実践的で面白い。

本を読んでいると独立当時から現在まで、
彼女が采配を振るうプロジェクトの規模が徐々に大きくなっているのが分かる。
自分がやりたいプロジェクトを引き寄せるためにどんなことを考えているか、
またお金のもらい方まで臆することなく書いていて、
「伝えたい!」という力強い前のめり感が伝わってくる。

建築、まちづくり、不動産関係以外の人にも、働き方の本としてすごくおすすめ。
悩みながら、そして戦略を立てながら仕事と向き合う姿勢そのものが刺激になると思う。
分厚い一冊ですが、文章の勢いのままするすると読めてしまうパワーのある本でした。

さて。本の中でデザインワークでお世話になった〈タウンメイド〉の話も紹介されていました。

ロゴやイラストの過程など、形作るにあたって考えたことを丁寧に拾い上げてくれました。
悩み生み出したものが、ちゃんとタウンメイドの骨格になっていることが感じられてとてもうれしい。

なかなか自分の仕事をこんな風に表現してもらうことがないので、ご褒美をもらえたような気分なのです。

 


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