2019-04-08

みかん畑のなかの家

みかん農家を営む祖父母のこれからの住まいについて考えることになりました。

自分たちではどうすることもできない複雑に絡む事情があるため、
スムーズにはこんでゆける計画かどうかはわかりません。
せめて動き出したときには前向きに進んでゆけるよう動きはじめました。

みかん畑の中に埋もれるように、新築する予定の住まい。
接道等の関係から既存の倉庫とのからみがあるので、まずはその実測調査から。

この倉庫はみかんを貯蔵したり、仕分けしたりと祖父母の職場とも呼べる場所で、
もちろん現役です。
小さな頃のわたしにとっては遊び場でもあった場所。
今思えば、広い土間空間の中に畳を敷いて作業をする様子は外のような中のような曖昧な空間で、
ちょっと特別な隠れ家のように感じていました。

なんせダンボールと紙は山ほどあるので工作やお絵かきし放題、
さらにおやつにみかん完備というよい遊び場具合。

先日、今はなき「野上鉄道」の工作を見つけたときにはきゅんとしました。

祖父母からいくつか住まいに関する要望を聞いていますが、
ふたりが描く住まいのかたちは、普段仕事で携わるものとは少し様子が違っている。

「居間」という言葉ひとつにしても、
ソファがあってTVボードがあってという暮らしではなく、
床は畳で、こたつがあって、きっとほどよく狭い空間を指している。
LDKという言葉ではくくることのできない暮らし方。

最近大切だなと考えることは、その人の生き方について寄り添うことの大切さ。
店舗でも、住宅でも、その他のプロジェクトやデザインでも、
建物のコンセプト以上に、
生き方を(おこがましい響きだけど、)を一緒に探せたらどんなに素晴らしいか。

おそらくふたりの終のすみかになるこの住まい。
既存の言葉では現すのことのできない、ふたりの家を表現できたらと思っています。

 


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