ハチミツ建築系座談会50回記念「和歌山近代建築遺産」へ。
ハチミツ建築系座談会50回記念「和歌山近代建築遺産」に参加しました。
ハチミツとは4年前に発足した建築を中心としたゆるやかな勉強会。
3人の先輩たちがほぼ月一で企画していて、
ゲストのトークを聞いたり、
おすすめの書籍を紹介し合うビブリオバトルをしたり、
建築雑誌を振り返り年間No.1の建築を勝手に決めたり、
デザインや美術というちょっと違った分野について学んだりと発見があり、楽しい会。
もう50回なんだ!すごい!
一番心惹かれたのが「高野⼭⼤学図書館」
今回は主催者のうちのひとりである東端さん(通称ばたやん)による
和歌山近代建築遺産の紹介で、約300枚という膨大な量のスライドを用いて、
13件の魅力ある建築を紹介してくれました。
どれも和歌山の建物ですが、その魅力を知らなかった建物もたくさん。
中でも一番心惹かれたのは、
ばたやんが「和歌山で一番好きな建物です」といって紹介してくれた「高野山大学図書館」でした。
建築家武田五一により設計されたこの建物は、
鉄筋コンクリート造3階建ての本館と、
階高を半分にして5層にし、収納量をアップさせた書庫が併設するという構成。
開口まわりの細かな彫刻や、柱に作り付けられたソファ。
なんといってもゆったりとした天井高を確保しつつ、白くアーチ状の天井をもつ閲覧室。
海外の図書館のような佇まい。
こんな建物が日本に、しかも高野山にあるんだ!と衝撃でした。
また、この図書館では研究活動もされているそう。
通常図書館といえば、次々に新刊が入荷し、新しい書籍が増えてくるものですが、
この図書館にはお寺から出てきた昔の資料といった古い書物が各地から寄せられ、
研究材料として所蔵されるんだそう。
ロマンがあるなあ。
和歌山の魅力ある建築を紹介する記事がwebで読める
今回のイベント、なぜばたやんがナビゲーターとして登壇したかというと、
彼は「きのくに」という建築士会の会報誌で、
建築を紹介する記事の執筆メンバーの一人として
実際にいくつもの建物を取材し、記事を書いています。
この会報誌は残念ながら一般には手に入らないものですが、
この建築紹介のテキストはwebで読むことができます。
今回のイベントのテーマでもある「紀州近代建築遺産めぐり」や
「わかやまの公共建築」についての記事がリンク先に公開されています。
普段は見学できない建物や、立ち入ることのできないエリアにも取材の脚を伸ばし、
建物を管理している方々に直接取材されているから文章がまた面白い。
「こんな風に使われてる建物なんだー」ということもわかります。
もちろん高野山大学図書館も掲載されているので、気になった方はぜひ。
ちなみにばたやんは本当に文章が上手い。
「どうやって文章力を身につけたんですか?」と聞くと、
大学時代の恩師に憧れ影響を受けたからかなと言っていました。
私も目標とする文章に出会うともっとうまくなれるのだろうか。
私が気になる建物のひとつ「和歌山地方気象台庁舎」も
あと私が普段から気になってる建物のひとつ、和歌山地方気象台庁舎も掲載されています。
この建物、「サインまでかっこいいなー」と思って毎日見ているのですが、
もちろん中に入ることはできないし、すごく有名な建物という訳でもないので、
中がどうなっているのか写真でみることもできません。
ただただ入ってみたいなーと眺めることしかできませんが、
こんな風に記事として読めるのはうれしいです。
紹介されている建物の中には、きっと普段目にしているものもあると思います。
見慣れすぎてて何も思ってなかったけど、
言われてみればかっこいいかも!という出会いもあるはず。
古い建物のあり方とは
イベントで紹介してくれた建物のうち、1つは取材後、すでに取り壊されたとのこと。
ばたやんは、「古い建物を活かすためにはそれなりの補修や、
耐震工事を施す必要があるので、すべてを残すべきだとは言えない」
と前置きした上で、こんな旨のことを話してくれました。
「魅力ある建物があることで、街に誇りをもつことができるし、
古い建物があることは、変わらずある姿を見て
心をほっと落ち着けるような安らぎを与えてくれる」と。
また主催者のうちのひとりである田辺さんも
「新しく、経済的な合理性だけを求めた建物だけがある街より、
古くてよい建物や新しくてよい建物が混在する街の方が文化度が高いと思う」
と、50回の節目の総括として締めくくっていました。
老朽化した建物に関する議論は様々あるし、
解体か、修繕か、その答えを目前に迫られている建物も沢山。
私はその答えがうまく出せず、悩んだりします。
そういう点からも、主催の方々の考えの端々を聞くことができてよかった。
田辺さん、ほまれさん、ばたやん、ハチミツ50回おめでとうございます。
これからの企画も楽しみにしています。