2019-07-13

みかんの枝葉の草木染め

祖父のみかん畑を譲り受けたときから老いたみかんの木をどうしようかと考えていました。
切り倒して新しい木を植えるのもなんだか申し訳なく、

とはいえそのままではいつかは枯らしてしまいます。

せめてその木を最後に活かしたいなと、ずっとあたためていた草木染め。
半年ほど前から取組んでいた製作のテーマにぴったりだったので、これを機に挑戦することにしました。

畑から持ってきた二本のみかんの枝葉。
一本は三週間ほど前に剪定して乾燥させたもの。
もう一本は数日前に畑からとってきたもので、葉には青さが残っています。

今回染色するのはリネン。
ハリのある生地ですが、染めることでどんな雰囲気に変わるか楽しみ。

草木染めはもちろん、布を染めるのもはじめてなので、
小さく切った生地を色んなパターンで染めて研究します。

青い葉、乾燥した葉、枝と素材の違いを確認し、
煮出す時間や回数をかえてみたり。
それから布に色を定着させるための媒染液は、銅とアルミの2種類を用意。
色の出方をみて1回染め、回染めと色を重ねます。

今回は淡い色に染めたいので、淡白処理はしないつもり。
微妙な色の違いが出せたらいいな。

枝を煮出している姿がとてもよい。
独特の香りがして、緑の灰汁がふつふつしてきます。
グレーだった枝は、徐々に苔が生えたような緑色になっていく。

銅の媒染液は酢と10円玉を使って用意しました。

さて。
素材を煮出した染液たちと、媒染液ができあがり。
ちなみにアルミの媒染液は水にミョウバンを溶かして作ります。

右から順番に青い葉、乾燥した葉、枝の一回煮出し、枝の二回煮出し。
同じみかんの木からとれた素材でも、それぞれ色合いや濃さが
違います。

乾燥した葉の煮汁はオレンジ色で、不思議とみかんを感じる色。
枝は一回煮出した時は淡い黄色だったのが、もう一度同じ枝で煮出すと
茶色っぽく濁ったオレンジの中に、うっすらと緑を感じる独特なニュアンス。

本当はみかんの皮も試したかったけど時期を逸してしまったのでまたの機会に。

煮出した染液に布を入れ、沸騰させないようにゆらゆらと煮る工程。
20分ほど火にかけたら一度きれいな水で洗います。
そのあと色を定着させるために媒染液に浸して、洗って干して完成。

真っ白だった布が柔らかい印象に変化しました。
影になる部分に緑の色合いがあらわれたりして、なんだかおもしろい。
枝で染めた淡い色合いがよかったので、二回染めして色の出方を微調整。

媒染液の違いはこれだけ色が薄いとわかりにくいけど、
なんとなく銅媒染の方がゆらぎがあって、アルミ媒染は安定するよう気がします。

染液の茶色がかった色から想像するより、ずっと優しい黄色に染まるのは不思議。
リンゴの木の葉や枝から煮出した液は赤っぽく染まるのかなー。

こんな感じで今日の研究は終わり。
少しイメージが摑めたので、本番はどんなふうに仕上げていこうか。


関連記事