2018-08-01

illustration9月号。フィリップ・ワイズベッカー特集

フィリップ・ワイズベッカーによる表紙

憧れのイラストレーターのひとり、
フィリップ・ワイズベッカーの特集号ということでillustration 9月号を購入。
これまでの主な広告作品を紹介するとともに、
一緒に仕事したアートディレクターの方たちがコメントを寄せていて見応えがありました。

竹中大工道具館のビジュアルを担当されている方

ワイズベッカーの名前を知らなくても、
日本の名だたる大企業とお仕事をされているのできっと絵を見たことはあるはず。
特徴的なパース、丁寧にモノに向き合う視線がびしびし感じられるような線。
消しゴムのあととかたまらない。
一目見ただけで「あ、あの絵のひとか!」となると思います。

私が一番印象にあるのは「竹中大工道具館」で担当されているビジュアル。
竹中大工道具館は竹中工務店が運営する神戸にある博物館で、
大工道具やその歴史を展示されています。
外部空間含めて魅力的な建物で、
良質なワークショップも頻繁に開催されていてとても好きな場所。

ここの入場券がワイズベッカーの描いたカンナの絵を採用しているのですが、
それが素敵で、もらった瞬間「わ!」とテンションがあがりました。
もし今後竹中大工道具館に行かれる方はぜひお楽しみに。

コンポジションは描かないというポリシー

クラスカのディレクターの大熊さんが語っていたエピソードが興味深い。

朱色の盆に椀がのった祝い膳のような絵を描いてほしいというリクエストに対して
「自分はコンポジション(複数のモチーフを同じ画面に配置すること)は描かない。
盆と椀を別々に2点描くから自由にデザインして」
とワイズベッカーさんに言われたのがとても印象的でした。

illustration 9月号 )

そうだったんだ、と発見でした。
デザインの仕上がりで一つの画面に2つ以上のものが配置されていても、
描く段階ではひとつだけ。
ひとつのものにとことんフォーカスすることでしか、
あの実直な線は生まれないんだろうな。

アトリエにある家具はすべて自作

アトリエの写真が数枚掲載されていて、
そこに映る家具はすべて自作だそう。
やはりモノの捉え方、感度が凄まじい。
描くこと、デザインすること、つくること、生活すること自体が作品のような方。
やっぱり憧れだ、と感じたエピソードでした。

いつかこんな素敵な線を引いてみたい。
目の保養になる1冊です。

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新関さんの作品集「NIIZEKI STUDIO 建築設計図集」が届きました。


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